第4章 にごったあおはあかまじり【一松】
「なのに、どうして。記憶、ないはずなのに。
なんで、カラ松なんて、描いてんだよォ!!」
ビリっ!描かれた恋人が破られる。
「こんな、涙のあとなんか付けやがって…っ
……あんな、クソ松なんかより
大事に、幸せに、するからっ…!!
僕だけを見てよ…!!」
ボロボロ、ボロボロと、涙が一松くんの頬を伝って行った。
「……っごめん、一松くん。
気持ちは、嬉しいよ。今まで気づかなくて、ごめんね。
けど、だけど、私は…」
言い終わる前に、言葉を遮られる。
「言っとくけど、ここから出れるとでも思ってる?
……もう、外にはださないから。
これからはずっと、僕が守ってあげる。
大好きだよ。トト子ちゃん。」
ニコ、と笑顔の裏にに孕んだ狂気はまるで毒のようだ。
なのに、どうしてだろう。いつの間にか、その歪んだ笑みから、
目をそらせない自分がいた。