第1章 おくすりのんだら
「ホエ、これは……今開発中の猫になれる薬ダス。まだ開発中だから、どんな作用が現れるかは確かじゃないんダス。これは失敗だったダスな。」
淡々と、しかし優しげに告げた博士は、空のビンをその大きすぎるパンツに収納した。
そこに入れるんだ!内心そう突っ込んだ私は、博士の次の言葉を待った。
「しかしこれは、なかなか興味深い作用ダス。偶然の産物ってやつダスね。
それだけに、効果がどれだけかもまだ分かっていないダス。心配しなくていいダスよ。
猫薬は一旦置いといて、当分はこっちに専念するダス。」
博士があれほど熱中していた研究を中断させてしまうことに、私は罪悪感を抱かずにはいられなかった。
「すみません……。」
「ホエホエ、チミが謝る必要なんてないダス。それに、大事な恋人をこんなにされて、
カラ松が黙っているはずないダスからな。チミのことは責任もって、このデカパンが元に戻すダス。」
ドン、と博士は自分の胸を叩いた。
「よろしくお願いします。」
大丈夫、この人なら元に戻してくれる。その真剣な眼差しは、私を決意させるに十分だった。