第1章 おくすりのんだら
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ペタ、ペタ。ペタ、ペタ。
「あの、はかせ?トト子なんですけど……」
いまだ机に向かう博士に声をかけた。
「ああ、トト子ダスか。どうしたダs?!」
振り向いた博士は、私を見て声を失ってしまったようだ。
「実は、あの頂いたドリンクを飲んだらこうなってしまって……。」
「ホェ……さては、まちがえて試作品を飲んでしまったダスなぁ。」
「で、ですよね。ごめんなさい。。」
あの時、手にしたビンは、やはり間違っていたのだ。
「ホエェ…しょうがないダス。熱中しすぎて投げやりだったワスが悪いダス。」
「そんな!わたしがわるいんですよ!」
「ホエホエ、発明家は、産み出すことだけが仕事じゃないダス。その作品が、世の中に正しく
自立していくまで、責任をもって導いていかなきゃいけないんダス。」
いつにもまして熱っぽく語る博士は、その格好からは想像できないような固い信念を持っていたのだと知る。
「……つい語ってしまったダスな!ビンは持っているダスか?」
黙りこくる私に、申し訳なさそうに口を開く博士。
その穏やかな口ぶりは、いつもと変わらないお人好しでファンキーな博士だった。
「あ、はい!これです!」
入りきらず、中途半端に開けていたポシェットのチャックを開く。
差し出したビンを受け取り、まじまじと眺める博士。