第4章 にごったあおはあかまじり【一松】
「ただいま。……こんなことば、久しぶりかも。」
男は、少女が眠りこけていることに気づき、小さな言葉をもらした。
「遊び疲れたのかな。風邪でもひかれたら困るな。
……まったく、世話が焼けるよ。」
男はいそいそと、どこからか毛布を持ってくる。
「……ん?絵、描いてたのか。青ばっかり短くなってる。
ハ、青は嫌いだよ。あのクソを思い出す。」
苛立ったように眉をひそめ、毛布をばさり、と少女にかける。
「…ッこれって…!」
男は憎々しげに画用紙に描かれたものを見つめた。
「クソ松ッ…!!」
少女の頬を支える画用紙には、一筋の涙の跡が残っていた。