第4章 にごったあおはあかまじり【一松】
「カラ松くんっ!!」
思い出した。
全てのことを。
どうして忘れてしまったんだろう。
こんなに大事な人を。
ふと、自分の描いた絵を見やる。
「カラ松くん……会いたいよ、帰らなきゃっ!!」
駆け出してドアノブを回す。
ガチャガチャ。ガチャガチャ。
何度ノブを回そうと、何度ドアを叩こうと、
その扉が開かれることはなかった。
「ひっく、う、ひっく」
言いようのない焦燥感に、とめどなく涙が溢れてくる。
このまま、私は、どうなってしまうのだろう。
焦りとは裏腹に、この小さい体は眠気を訴えてきた。
「カラ松くん……」
何度呼んでも、届くはずのない名前を呼びながら、
トト子は、画用紙に突っ伏すように眠りに落ちた。