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リケ夫くんとビチ子さん

第8章 賢さ


ビチ子のおばあちゃんは過保護だ。
「毎日モニコしてくれるし、毎月お米や食品を送ってくれるし、帰省のたびにお小遣いを何万円もくれるよ。」
「すごい。」
18年間同居した可愛い孫、それも女の子となると、目に入れても痛くないというものなのだろうか。

・・・モーニングコールに関しては、ビチ子が壊滅的に朝が弱いからだと思うけど。



「そういえば今朝はリケ夫のこと聞いてきた。」
「えっ。」
これだけ孫を愛しているおばあさまに話を聞かれるとなると、ご両親とはまた違う緊張感があるな。
「博士ってものがどれだけすごいのか父さんに聞いたみたいで、ベタ誉めだったよ。」
「それはそれは、光栄の極みですな。」
伸びていた背筋が安堵で少し曲がる。
やはり大好きな人のご家族に認められるというのは、何よりも光栄なことだと思う。
「でも逆に心配されてねー。」
「心配?」
「"そんなに賢い人とお付き合いしてて話が合うの?"だってさ。」
失礼な、とビチ子はぷりぷり怒った。

別に僕は自分のことを賢いと思ってないし、むしろ研究の才能がないと思っているのだけれどなぁ。
それに僕はビチ子の方が賢いと思う。
専門知識や計算はもちろん僕の方が上だけれど、彼女はいろんなことを知っているし、そもそも地頭がいい。頭の回転も早いし、物事の多角的に観察し本質を見抜くセンスもある。
・・・ぶっちゃけ僕より研究者向きだと思うんだよね。
まぁ、今回はせっかく褒めていただけたのだし、ここは素直に受け取っておこう。

「言われてみれば、リケ夫と真面目な話ってしたことあったっけ?」
「うーん・・・確かに討論ってものはあまりしたことないかもね。」
「よし、これを機にしてみようか。」
「えぇー?」
「何その嫌そうな声。」
したくないわけじゃないけど。言い負かされたらどうしよう。
「はい、議題。」
「えー?急に言われても分かんないよ。」
「うーん、そうだなぁ、うぅーん・・・。」




ビチ子の提案を待つこと、5秒。





「カレー味のうんこか、うんこ味のカレーか、食べるならどっちを選ぶ?」





・・・おばあさま、あなたの孫はこういう子だから僕は大好きなのです。


ちなみに僕はうんこ味のカレー、ビチ子はカレー味のうんこを選んだ。
ビチ子はうんこなんて食べるのか!スカトロ!
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