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リケ夫くんとビチ子さん

第23章 信心


「合コンに誘われたよ。」
「えっ!?リケ夫の研究室に、合コンに行くような人がいたんだ!?」
「まずそこなのか。」

夜の電話。もはや日課のような行事。
ちょっとビチ子を驚かせようとしたんだけど、僕の思惑とは別方面で驚かれてしまった。
「だって、理系にそんな勇気や人脈があるような人がいると思えなくって。」
「まぁ、否定はしないけどね。」
僕の研究室は、学科でも有名なブラック研究室。
どいつもこいつも研究や雑用ばっかり。
サークルやバイトならまだしも、恋愛や女の子だなんて。そんなの、ほんの一握りの特権階級にだけ許された行いだ。
僕はありがたいことに、特権階級に入れたんだけどね。

「で、なんでまた合コン?」
「なんか、人数が足りなかったんだって。」
そんな話を後輩たちがしていた時、僕が偶然トイレから研究室へ帰ってきた時で。
「先輩どうです?なんて、社交辞令で言ってくれただけ。」
「彼女持ちの人に?」
「まだ続いてると思わなかったんだって。」
「失礼な!!!」
僕も思った。失礼なって。
でも後輩達からすれば、1年も遠距離が続くと思わなかったそうで。
こんな研究室のせいで、彼女との時間が取れなくて、うまく行かない生徒も数多くいるわけで。
ついでに僕が彼女の話をしないもんだから、現状を掴みとれなかったそうで。
「まぁ、遠距離って難しいって言うよね。」
「あたしも友達に、よく続いてるねって言われた。」
「うん。僕も言われた。」

でも僕達の総意として、お互い浮気しないって信じてるし。
そりゃあ寂しくて会いたくなることもあるけど、電話やビデオ通話があるし。
ビチ子いわく、すぐ会えないぐらいの方が、研究の時間を奪わなくて済んでお互いにとっていいとのことだし。
何より僕達は、お互いのことが大好きなので。
「別れようなんて思ったことないよね。」
「ないない。」
破局の危機なんて訪れたことがないのです。




「で!合コン行くの!?」
「断ったよ。」
「なんで!?」
「ビチ子こそなんで!?」
行って怒られこそすれ、行かないで怒られるなんておかしくない?
「だってリケ夫さん、この間"世界にビチ子しか女性がいないんじゃないかって思い始めたよ"とか言ってたから!!変に人格歪まないかなって!!」
「大丈夫だよ!あれは冗談!」
「もっと女遊びしろよ!!!」
「あれぇー!?!?」
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