第6章 鼻
「寝てると言えば、ビチ子の鼻が好き。」
「前と後ろの文章が繋がってなくない?」
唐突に何を言い出すんだこいつは。
「んーっとね、寝てるビチ子を眺めるのが好きだし、いじって遊ぶのも好きだし、特に鼻をすりすりするのが好きなの。」
「やめろおおおおおお!!毛穴がコンプレックスなのに!!脂がああああ!!」
「触り心地好きだよ?」
そんなことを言われるとは思っていなくて言葉を失う。
「あれー?照れてる?」
いや、照れじゃなくてどちらかというと絶句なんだけど。
鼻を触ろうとするリケ夫の手を払いのける。にやにやすんな。
「っていうかそんなことしてたのか。」
「うん。ビチ子ってすごくてさ、鼻を連打しても起きないんだよ。」
「連打!?そんなことしてたのか!」
リケ夫はおじいちゃん並に早起きな朝型で、あたしは典型的な夜型。朝は何より弱い。
だから朝はいつもリケ夫の方が1時間ほど早起き。
「可愛い反応が見たいからいじってるんだけど、相当激しく連打しないと反応しないんだ。」
「やめて!毛穴を掘るようなまねはやめて!」
そんなことするぐらいならメルヘンらしく、寝てる彼女にキスするぐらい乙女なことしてください!
「キス?やだよ、そんなことしてたらビチ子の寝顔を眺める時間が減るじゃん。」
・・・メルヘンの底力を見た。