第3章 出会い①
ビチ子と付き合ってかれこれ1年。
出会いは3年前になるのかな。もうそんな時間が流れたのか。こいつぁ驚いた。
3年前、T大学の理系学部で、災害救助ロボットを作ろうというプロジェクトが立ち上がった。
僕はロボット製作は専門外だったのだけれど、友人の誘いでキックオフメンバーに加入した。
「・・・正確には、させられた・・・かな。」
そしてこのプロジェクトは、総合大学の強みを生かして、全学部を対象にメンバーを募ろう、ということになった。
しかし集まったメンバーの大半は理系学部の生徒。そうでない文系の生徒にしろ、メガネ、ボサボサ、デ・・・おっと失礼、ふくよかだったね・・・とにかくむさい男だらけのプロジェクトになった。
顧問やキックオフメンバーは「いろんな学生の力を結集して、わいわい賑やかな雰囲気の中、新たなロボット分野を開拓しよう!」とか思ってたのかもしれないけどさぁ。
所詮理系プロジェクトは理系分野、大学の深淵でひっそりとやっていくものなのだ。
まぁこんなもんだよね。現実は非情。そしていつも通り、灰色の研究生活が続くのさ。
・・・と、誰もがそう思っていた。
そんな中でもメンバー入りしてくれたのがビチ子。
ただ一人の女性。ただ一人の芸術学部生だった。
「女性が、しかも芸術学部生が、単騎で乗り込んでくるなんて思ってもみなかったよ。」
長い髪、たなびくスカート。スラリと高い背、おしゃれな雰囲気。
あまりの眩しさに、普段から女性と接点すらない男どもはみな遠巻きに彼女をチラ見していた。
別に僕は、ロボットに多大な興味もなければ、女性との出会いを求めていたわけでもないのだけれど。
・・・でも今なら言える。僕を誘ってくれた友人、本当にありがとうな!