第14章 タイプ
ビチ子はよく、僕の好みについて聞いてくる。
「リケ夫さんってどんな子がタイプなの?」
でも僕がはっきり明言しないことが多いからか、何度も同じような質問を飛ばしてくる。
「タイプねぇ・・・。」
そんなことを言われてもピンとこないのだ。
しかし「好きになった子がタイプ」なんて言葉でビチ子が僕を逃がしてくれるはずもない。
「ほら、明るい子とか、小柄な子とか。」
でもビチ子が僕の好きなタイプを聞き出すことで、僕にもっと好かれようと努力するんだろうなーと思うと、こういう質問にはきちんとお答えしていきたい。
「背は高い方が好きだよ。」
「へぇー。」
毎回こんなふうに答えているのだけれど、背の高さをコンプレックスとしているビチ子はあまり納得していないみたいだ。
「背が高くてスラッとしている、モデルみたいな人が好ましいかなぁ。」
「ぐふぅ。」
ちょっぴりお腹についているお肉をつまんで、ビチ子は憎たらしい目で僕を見上げる。
「・・・痩せます。」
「うん、頑張ろうね!」
「そっちこそ痩せようね。」
「ぐふぅ。」
たゆんたゆんにたるんだお腹のお肉を摘まれて、僕もカウンター大ダメージを食らった。
「たゆんたゆーん。」
・・・まぁでも、ビチ子が楽しそうならいいかな。
「ビチ子のおなかもたゆんたゆーん。」
負けじとビチ子のおなかに触る。僕のおなかよりはハリがあるけど、なかなかにだらしなくて・・・。
「ひどい!サイテー!もう服は脱がない!」
凄まじい剣幕で怒られた。
・・・えっ?なんで僕怒られてるの?僕もおなかたゆんたゆんされたよね?えっ酷くない?
「ビチ子ー!!ごめんってー!!」
時々理不尽だけど、そんなビチ子さえ可愛いと思ってしまうんだから、つくづくビチ子はタイプなんだと思うし、勝てないんだよなぁ。
「もう許さない!」
「言いすぎたよー!そのおなかのままでもいいからさ、服は脱いでほしいよー!」
「そこかよ!?脱がない!!」
「なら襲っちゃうぞー!?」
「ほんっっっとサイテー!!!!!」