第13章 ダブル
「いつか一緒に暮したいねー。」
「だねー。」
いつもどおりビデオ通話。いつもどおりベッドでゴロゴロ。
寝転がりながらするリケ夫とのビデオ通話は、お互い隣で寝転がってるようで・・・いい。
「2DKの部屋がいいな。」
「2部屋欲しいよねー。」
「喧嘩した時は別々に寝られるもんね。」
「ビチ子と喧嘩なんてしないもん。」
「ふふふっ。」
可愛いこと言ってくれるなぁ。リケ夫はつくづくあたしよりメルヘン力が高い。
「喧嘩はともかく、リケ夫の仕事のための書斎が欲しいなって思ってるんよ。」
「マジか!ありがとう!」
「まぁあたしのパソコンも置きますけどね。」
「そうだね。並んで仕事出来るのもいいなぁ。」
「仕事を家庭の持ち込みたくないけどねー。」
夢は膨らむ。妄想は進む。
いいな。いつか一緒に暮らせたら、いいな。
「もう1部屋は寝室ね。やっぱりダブルベッドかなぁ?」
「・・・。」
「リケ夫?」
「あー・・・うん、そうだね。」
なんだか重苦しい言い方。
「・・・一緒に寝るの嫌だった?」
やっぱり狭いし、寝る時間がズレると起こしちゃうし、嫌なのかな?
それはちょっとあたしとしては、ダブルベッドなんて舞い上がっちゃって恥ずかしいし、それ以上に寂しい。
重い口が開かれた。
「いや・・・狭いベッドで引っ付いて寝るのがいいなーって思ってたんだけど。」
リケ夫が恥ずかしそうに頭を掻く。
「そうだよね、広いベッドの方が休めるからいいよね。」
やっぱりリケ夫のメルヘン力は右斜め上を行っていた。