第11章 経験人数②
「ねぇ、それって少なくとも、9-6の彼氏じゃない人がいるってことだよね?」
「そういうことになりますね。」
「・・・すごいねー。」
「リケ夫には穴兄弟が8人いることになります。」
「それはあんまり聞きたくなかった!」
ビチ子のそういう、貞操観念が少々希薄なところは、「過去は過去」として僕は気にしていない。
でも「他に男がいた」という点で考えると、嫉妬の炎がメラメラと燃え上がる。
処女厨ではないんだけどなぁ。むしろ経験豊富なお姉さんの方が好みだけどなぁ。男というのはめんどくさい生き物だ。
「リケ夫と付き合う時も3股した上でだったからね。」
「・・・懐かしいね。」
「彼氏と浮気相手とリケ夫だったからねー。」
彼氏と浮気相手。
当時の彼氏は、例の災害ロボットプロジェクトの後輩だった。イケメンでいい男だ。僕はよく勝てたなと今でも思う。
浮気相手の方とは、僕達が付き合う直前に顔を合わせた。というか逆上してビチ子の家に死んでやると叫びながら乗り込んできた。
不思議な3者面談をすることになったが、そのおかげで僕はビチ子を支える覚悟が出来たし、ビチ子もまた僕を選んでくれることになった。
でも・・・。
「あたしは悪い女ですよ。」
僕も9-6の1人になったかもしれなかったんだ。
そう考えると、これだけビチ子を愛していて、でも片思い当時は諦めかけていた僕からすれば、かなり複雑な気持ちになってしまう。
「3人ですかー・・・。」
それでも不思議なことに、ビチ子の過去を知り尽くしてもビチ子のことを諦め切れなかったんだ。
それがビチ子の魔性の魅力と言えばそれまでかもしれないけど、それでも僕はビチ子が大好きだし、ビチ子とともに生きていきたい。
「・・・いつから3人だと錯覚していた?」
「え?」
まさか。
「彼氏6人全員とヤったとは一言も言ってないでござる。」
「なん・・・だと・・・。」
質問の答え
ビチ子の経験人数-体だけの関係人数>3
結論
ビチ子さんはすごい。