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【おそ松さんR18】君がため

第12章 つぶやき【おそ松】




こうして、わたしは、今日1日、おそ松くんとふたりでデートすることになった。

おそ松くんが、本当は何を考えているのかはわからないけど、でも、今のわたしには黙ってついていくという選択肢しかない。



服を着替えて、お化粧をして、おそ松くんと連れ立って家を出る。

おそ松くんとお出かけなんて、なんだか不思議なかんじがする……


おそ松「ん、ほら」


不意に、右手を差し出された。

つまり、手を繋ごうということなんだろう。

わたしは、その手におずおずと自分の左手を重ねた。


指を絡ませ合って、いわゆる恋人つなぎというやつをする。


おそ松「さくら、手ちっさ!」

「そ、そうかな……?」

おそ松「女の子の手ってかんじ」

「そりゃあ……女の子だからね」


わたしの言葉に、おそ松くんは、声をあげて笑う。


なんか……

こうして見ると、すごく普通の男の子に見える。

普通の、

優しい、

男の子。


いつもこうならいいのに……

なんて思いが頭をよぎる。


「……で、どこに行くの?」

おそ松「そうだなー。とりあえず、メシでも食う? 腹減っただろ?」

「うん……そうだね。ごはん食べたい」

おそ松「じゃ、決まりな」


おそ松くんは、アテがあるのか、手をつないだまますたすたと歩き出す。


こういうところ、男らしくていいかも。

なんて。


そういえば、おそ松くんは、高校時代、女の子からモテていた。

クラスでも、おそ松くんのことを好きだと言っている女の子はたくさんいたし、現に何度も告白されている場面を目撃したこともある。

なのに、おそ松くんは、彼女をつくらなかった。

どんなに可愛い女の子の告白も、頑なに断り続けていた。


「もったいない……」

おそ松「え?」

「ううん、なんでもないよ」


あんなにモテるのに。

普通にしていれば、すごくいい人なのに。

なんで、わたしのことなんか好きなんだろう、この人は……


というか。


本当にわたしのことが好きなんだろうか?

本当にそれだけなんだろうか?


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