第11章 本当は【カラ松+一松】
数秒の間ののち、カラ松くんの口から、え…、という声がこぼれた。
その声で、わたしは我に返った。
「カラ松くん…っ、こ、これは……ちがくて」
とりあえず、この体勢をなんとかしなくちゃ。
話をするのはそれからだ。
一松くんをどかそうと、身をよじる。
と、その瞬間だった。
一松くんの手がわたしの腰をつかんだ。
そして。
「やッ……!えっ、ちょっと!」
そのまま、激しく腰を上下に揺さぶられた。
なんと、一松くんは、カラ松くんの目の前で行為を再開したのだ。
「えっ…やぁッ……! 一松くんッ」
一松「なに」
「なにって…! か、カラ松くんがッ……」
一松「カラ松がどうしたの」
「見てるっ…! 見てるからぁ…やぁっ」
一松「見せてやればいーじゃん」
そう言って、一松くんは、カラ松くんを見て笑った。
一松「あんたも見たいでしょ? さくらがよがって乱れてるとこ」
カラ松「一松……」
カラ松くんは、何を考えているのかわからない無表情で、わたしたちを見ている。
カラ松くん……なにを考えてるの?
わたしが誰にでも身体を許す軽い女だと思って失望した?
わたしのこと嫌いになった?
軽蔑してる……?
「カラ松く……おねがッ…見ないで」
一松「あ、いーこと考えた」
一松くんは、ギザ歯を見せてにやりと笑うと、カラ松くんに向かって手招きするような仕草をした。
一松「あんたも一緒にシようよ、カラ松にーさん」
カラ松「えっ……?」
一松「見てるだけじゃつまんないでしょ? こっちに来て一緒に遊ぼーよ」
「ま、待って…! 一松くんッ…やだ…んぐっ」
黙れと言わんばかりに、口をキスで塞がれた。
そのときだった。
ぐいっと腕をひかれて、唇が離れた。
見ると、わたしの腕をひいたのはカラ松くんで。
カラ松くんは、氷のような目でわたしを見下ろしていた。
「……っ」
カラ松「ああ、わかったよ。一松」
「えっ……か、カラ松く、」
一松「はっ…、そうこなくちゃ」
やだ、と言いかけた口を、今度はカラ松くんに塞がれた。