第11章 本当は【カラ松+一松】
「くッ……も、もう、嫌…っ」
一松「あ、泣いて同情ひこうって作戦? 残念だけど、それ、逆効果」
一松くんは、わたしの目からあふれた涙を、ぺろりと舌ですくいあげた。
「ひ……っ」
一松「しょっぱ……」
「い、いきなり何して……んんッ」
抗議の声をあげかけたわたしの口を、一松くんの口が塞いだ。
むさぼるようにキスをされて、舌と舌が唾液を引く。
あ……なんか、
一松くんとキスするの、久しぶりすぎて……
一松「なに、その顔。キスで感じてんの」
突然、唇を離されて、そんなことを囁かれた。
目をひらけば、一松くんは、意地悪く笑っていた。
一松「じゃあ、そんなド淫乱のさくらチャンに今日はプレゼントがありまーす」
「え……? ぷ、ぷれぜんと……?」
な、なんだろう。
嫌な予感しかしない。
一松くんは、ジャージのポケットに手をつっこみ、そこからピンクの錠剤を取り出した。
「な、なに……? その薬」
一松「それは飲んでからのお楽しみ。口、あけて」
「ぜ、絶対にいや……ッ!」
そんな得体の知れないもの、飲み込みたくない!
それに、一松くんが持ち歩いているような薬だ。どんな効果があるのか、わかったものじゃない。
一松「へえ? 逆らうんだ?」
「だって……そんなの飲みたくないよ! せめてなんの薬なのか教えてよ」
一松「だから、それは飲めばわかるって。ま、嫌なら仕方ない」
一松くんは、薬をもった手を引っ込めた。
どうやら、諦めてくれたみたいだ。
わたしがほっと胸をなでおろした、そのとき。
一松「……むりやり飲ませればいい話だもんね」
一松くんは、薬を自分の口に投げ入れると、そのままわたしに深いキスをしてきた。
舌で、喉の奥に薬を押し込められて、わたしは、思わずそれを飲み込んでしまった。
「っ……!? う、そ、そんな」
一松「あーあ。飲んじゃったね」
口からこぼれた唾液をぐいっと拭って、一松くんは、口角を吊り上げる。
と、その瞬間。
どくん、と心臓が大きくはねた。
「えっ……!? な、なに?」
一松「うわ……もう効果出たの? さすが、デカパンの薬」
「い、一松く……ん、まさか」