第11章 本当は【カラ松+一松】
「おそ松くん……っ」
やっぱり。
わたしは、どこかで分かってたのかもしれない。
どうせ、この人からは逃げられないんだって。
おそ松「よっ、トド松。ひさしぶりー」
トド松「おそ松兄さん……」
おそ松「おまえどこ行ってたんだよ。心配してたんだぜ? 電話も全然出てくんねーし、さすがの俺でもあれだけシカトされたらショックだわ」
トド松「おそ松兄さん。僕、家に帰る気ないから」
トド松くんは、おそ松くんをしっかりと見据えて、そう断言した。
おそ松「へえ? で、さくらつれてどっか行くつもりだったんだ?」
トド松「目を覚ましてよ、兄さん。さくらちゃんは、僕たちのものじゃないんだよ? こんなこと続けて、きっと兄さんも後悔するよ」
おそ松「僕たちのものじゃない、か……じゃあ、おまえはどうしてさくらとふたりで逃げようとしてんの?」
おそ松くんの言葉に、トド松くんは大きく目を見張った。
トド松「そ、それは……」
おそ松「『僕たち』のものではないけど、『僕』のものにはしていい、ってか?」
トド松「僕は、そんなつもりじゃ……!」
おそ松「うん、いいよ。言い訳はあとでゆっくり聞くから」
おそ松くんは、トド松くんの肩に手を回した。
その顔は笑っているんだけど……でも、わたしには分かる。
おそ松くんは、今、ものすごく怒ってる。
まずい。
このままでは、トド松くんがひどい目に遭ってしまう……!
わたしのせいで。
わたしを逃がそうとしたせいで。
「あの……っ、おそ松くん」
わたしは、おそ松くんとトド松くんの間に、むりやり割って入った。
「ち、ちがうの……! トド松くんは悪くないの。わたしが……わたしが逃げたいって言ったの! トド松くんに協力してくれるように頼んだの!」
トド松「さくらちゃんっ……」
「だから、わたしが悪いの。ごめんなさい……!」
おそ松「……」
おそ松くんは、なんとも言えない冷めた表情でわたしを見下ろした。
嘘がバレたのか、それともわたしの言葉を信じて怒っているのか……
おそ松「ふーん。そうなんだ? でもさ、それが本当だとしたら、またお仕置きしないとダメかもなぁ?」
「……ッ」