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【おそ松さんR18】君がため

第11章 本当は【カラ松+一松】




わたしは、走っていた。

トド松くんに手を引かれながら。


トド松くんの足が駅のほうへ向かっていることは、なんとなく分かった。

きっと、電車に乗るつもりなんだ。

電車で、どこか遠い町へ逃げるつもりなんだ。


トド松「さくらちゃん……大丈夫?」

「え? な、なにが?」

トド松「いや……なんでもないよ」


一瞬、トド松くんの目が、哀愁の色を映し出した。

不安になり、繋がれた手にぎゅっと力をこめる。

なんだか、トド松くんが離れていってしまうようで。その背中に抱きつきたい衝動にかられる。

なんでだろう。今まではそんなことなかったのに。


「トド松くん……ありがとう」


ぽつり、呟いた言葉は、トド松くんに届かなかったのかもしれない。

彼は、わたしを振り向くことなく、ひたすらに走り続けた。





駅についたとき、わたしもトド松くんも、すっかり息が切れていて、びっしょりと汗をかいていた。

でも、そんなことはどうでもよかった。


トド松くんは、券売機に万札を投入した。

その指が、一瞬迷いを見せる。


「どこに行くつもりなの……?」

トド松「うん……僕もよくわかんない」


はは、とトド松くんが自嘲気味に笑う。

そして、1番値段の高い切符のボタンを指で押した。


券売機から、2枚の切符が吐き出される。

これで、この町から出られる。どこか遠くへ行ける。


トド松くんは、券売機から出てきた切符を手に取った。

そして、そのうちの1枚をわたしに渡そうとした。そのときだった。


「あーあ。こんな高い切符買っちゃって。どこに行くつもり?」


背後から手が伸びてきて、トド松くんの手から、切符がかすめ取られた。

えっ、とうしろを振り向けば、

そこに立っていたのは、赤いパーカーを着たおそ松くんだった。





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