第11章 本当は【カラ松+一松】
トド松「僕ね、このままじゃダメになると思ったんだ……」
「え?」
トド松「あの日、さくらちゃんの首を絞めたとき、自分が自分じゃないみたいだった……。僕は、このままじゃ本当におかしくなる。さくらちゃんのこと、きっと傷つける」
「そんなこと……」
トド松「言ったでしょ? 僕は、本当に純粋にさくらちゃんのことが好きだったって。でも、兄さんたちもさくらちゃんを好きだって知って、どうすればいいのか分からなくなった」
トド松くんは、苦しそうに顔を歪め、拳をにぎりしめた。
トド松「僕は、あの家にいたらダメになる一方だ。さくらちゃんを想う純粋な気持ちも、きっと、なくなっちゃう。だから、家を出たんだ」
「そう……だったんだ」
わたし、何もわかってなかった。
トド松くんが、そんなに苦しんでいたなんて。
トド松「だから、お願い。僕を家に連れ戻そうとしないで。これが僕が考えた最善の策なんだ。さくらちゃんと自分を守るための」
「うん……。でもね、トド松くん。おそ松くんは、本当にトド松くんのことを心配して、」
トド松「それは、わかってるよ。でも、元はと言えば兄さんたちが悪いんだよ……。さくらちゃんも、おかしいと思わないの? さくらちゃんは僕たち6つ子に半ば監禁されてるようなものなんだよ?」
「それは……そうかもしれないけど」
わたしが頼りなく呟いた、そのときだった。
トド松くんは、突然椅子から立ち上がり、わたしの手をつかんだ。
「……っ!?」
トド松「さくらちゃん……落ち着いて聞いて」
「う、うん……?」
トド松「もし……もし、さくらちゃんが兄さんたちから逃げる気があるなら、僕、協力する」
「えっ……!?」
わたしを真っすぐに見据えるトド松くんの目は、至って真剣だった。
トド松「さくらちゃんは、今まで逃げ出そうとして何度もひどい目にあってるから、怖いかもしれないけど……でも、今回は僕がついてるから。だから……安心して。僕を信じて」
「トド松くん……」