第2章 再会【一松、おそ松+十四松】
***
「お邪魔しまーす!」
久々に松野家に遊びに来た……ほんと、5年ぶり。
なつかしい香りがする。その香りも、5年前といっしょ。
「あれ……小母さんは?」
おそ松「母さんと父さんは、今、海外旅行中。だから、オレたちしかいないんだー」
「そうなんだ……海外って、どこに行ってるの?」
おそ松「イタリアだったかな。ずりぃよな、自分たちだけ」
まあ、たまには息抜きしたいっていう小母さんと小父さんの気持ちもわからなくはないけど。
なにせ、家には騒がしい6つ子の兄弟がいるんだもの。
と、そのとき。
スマホをいじっていたトド松くんが、あっ、と声をあげた。
「ん? どうしたの、トド松くん」
トド松「ごっめん。僕、用事ができちゃった。すぐ戻ってくると思うけど、ちょっと出てくるね」
おそ松「んー、なんだなんだ? また合コンかあ〜?」
トド松「ちょっ……ち、ちがうよ! ていうか、さくらちゃんの前で合コンとか言わないで、おそ松兄さん」
おそ松「あっはは〜、ごめんごめん」
合コン……。そうか、そうだよね。もうみんな成人してるんだもん、合コンくらい行ってもおかしくないか。
トド松くんが出かけたあと、それとなく、
「みんなは、彼女とかいないの?」
と、訊いてみる。
チョロ松「えっ……か、かかかか、彼女!?」
おそ松「おまえ、動揺しすぎ。さすがチェリー松だな〜。これだから童貞は」
十四松「おそ松兄さんだって童貞じゃーん!」
チョロ松「っていうか、僕ら全員童貞だし」
カラ松「俺はつねにカラ松ガールズからの愛を享受しているからな。おまえたちとは違う」
な、なんだかよく分からない言い合いが始まってしまった……。
変なこと訊かなければよかったかな。
一松「……これで彼女いるように見える?」
と、蚊帳の外だった一松くんが、ぼそっと尋ね返してくる。
うん……とてもそうは思えないや。