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【おそ松さんR18】君がため

第10章 十四松のひみつ【十四松】




その日の夜。

夕飯が終わって、みんなが銭湯に行ってしまい、わたしは、7人分の布団を敷いて眠る支度をしていた。

と、そのときだった。


十四松「ねーねー、さくらちゃん」


不意に、押し入れの扉があいたかと思うと、みんなと一緒に銭湯に行ったはずの十四松くんが、姿を現した。

あまりにも突然の出来事に、思わず、うわあ!と声が出た。


「じゅ、十四松くん……びっくりさせないでよ」

十四松「えへへへ〜、ごめんね?」

「みんなと銭湯に行ったんじゃなかったの?」

十四松「うん。おれ、もうしばらく銭湯は行ってないよ? しらなかった?」


そう言って、十四松くんは、パーカーの袖をまくった。

血のにじんだ包帯に包まれた手首。それを見た瞬間、思わず息をのむ。


十四松「これ、見せるわけにはいかないからさー」


何も言葉を返せなかった。


十四松くんは、わたしのほうへ近づいてくると、わたしの腕をつかみあげた。


「いっ……!」

十四松「昼間、カラ松兄さんに言おうとしてたでしょ?」


十四松くんの口からは、笑みが消えていた。

また、このまえと同じだ。

わたしがカッターを取り上げたときと同じ、あの冷たい瞳が、わたしを見下ろしている。


「ご、ごめんなさい……わたし、」

十四松「カラ松兄さんに言ってどうするつもりだったの? カラ松兄さんならおれを止めてくれると思った?さくらちゃんの味方をしてくれると思った?」

「そういうわけじゃない……けど、あなたを助けたかったの……!」

十四松「ほら、また。言っとくけど、カラ松兄さんはさくらちゃんの味方なんてしてくれないよ?」

「え……?」

十四松「さくらちゃんが、カラ松兄さんをどんな人間と思っているかは知らないけど、おれがこういうことしてるって兄さんに言っても、兄さんは何も解決してくれないよ」

「それって、どういう意味……?」


十四松くんは、うっすらと不気味な笑いを口元に湛えた。

それは、まるで、わたしを馬鹿にするような、嘲笑するような、冷たい笑みだった。


十四松「ほんっとバカだよね、さくらちゃんって」

「……っ、よ、よくわからないけど、そんなことはどうでもいいよ。たとえ、カラ松くんが力になってくれなくても。わたしはあなたを助けたい!」


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