第10章 十四松のひみつ【十四松】
わたしは、思わず十四松くんから目をそらした。
「話してないよ……」
わたしのその言葉を聞くと、十四松くんは、いつもの無邪気で屈託のない笑顔に戻り、わたしから体を離した。
十四松「そっか! それならいいんだー!」
「うん……」
十四松「あっ、カラ松兄さん! 兄さんに見せたいものがあるんだー。ちょっと来てー」
十四松くんは、カラ松くんの腕に自分の腕を絡めると、カラ松くんを引きずるようにして居間を出て行ってしまった。
去り際に、カラ松くんが心配そうにわたしを見つめていたが、わたしにはどうすることもできなかった。
ここでカラ松くんに助けを求めるのは、きっと得策ではない。
……じゃあ、わたしは、これからどうすればいいの?
このままでは、十四松くんの自傷行為はひどくなっていく一方だ。
他の兄弟に助けを求める?
それとも、わたしから、もっと強く説得する?
どうすれば、十四松くんを救えるの?
そして、
そもそも、
十四松くんが自傷をする理由は、なんなの?