• テキストサイズ

【おそ松さんR18】君がため

第10章 十四松のひみつ【十四松】




まずいことをした、と思う。

あの日以来、十四松くんの様子がおかしくなった。






十四松くんの日中の基本行動は、大きく分けて3つ。

野球に行くか、

屋根の上でぼーっとしているか、

お兄さんたちとパチンコに行くか、

いずれかだ。


つまり、十四松くんは、兄弟全員が出払っていたり、よっぽどのことがない限り、日中は家にいない。


それが、あんなことがあってから、十四松くんは、ほぼ毎日家にいる。

それも、押し入れや、お手洗いや、お風呂場や、一人になれる場所にこもっているのだ。


わたしは、「もうこんなことしないで」なんて軽率な言葉で、十四松くんの自傷癖を悪化させてしまった。

リストカットをする理由を聞きもしないで、その行動を咎めるなんて。自分でも、バカなことをしたと今になって思う。


でも……それでも。

放っておくわけにはいかない。


「カラ松くん、ちょっと相談があるんだけど」


わたしは、みんなが出かけた隙を見て、いつものように居間で鏡を眺めているカラ松くんに話を持ちかけた。

十四松くんは、相変わらず、お風呂場にこもっている。

つまり、この家には、わたしとカラ松くんと十四松くんの3人しかいない。だからこそ、この話をするなら今しかないと思った。


カラ松「おう。どうしたんだ、さくら。そんな顔をして」


カラ松くんは、鏡から顔をあげて、わたしを見た。

大丈夫。カラ松くんになら言える。


「その……十四松くんのことなんだけど」

カラ松「十四松がどうかしたのか?」


言える。大丈夫。

きっと、カラ松くんなら、十四松くんを助けてくれる。


「十四松くん、最近おかしいって思わない……? ずっと家にこもってるでしょ?」

カラ松「ああ、それは俺も気になってた」

「カラ松くん……十四松くんが一人で何してるか、知ってる?」


カラ松くんの目が、真剣な色を帯びる。


カラ松「十四松と何かあったのか、さくら?」

「……あのね。わたし、見ちゃったんだ。十四松くんが、」


わたしが言いかけたそのときだった。




/ 464ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp