第2章 再会【一松、おそ松+十四松】
トド松「ったく、どうしようもない奴らだね」
3人仲良く地面に伸びてしまった男たちを見下ろして、トド松くんが楽しそうに言う。
わたしとこの6つ子の兄弟は、高校時代に同じクラスで、それなりに仲良くしていた。
きっかけは、わたしとカラ松くんが、同じ演劇部だったことだった。
同じ部活で家も近かったわたしとカラ松くんは、すぐに仲良くなり、必然的に彼の兄弟とも話すようになった。
わたしと6人は、昔は、家を行き来して遊ぶほどに仲がよかった。
わたしが高校卒業と同時に隣町に引っ越してしまったため、しばらく会っていなかったけれど。
「みんな、助けてくれてありがとう」
おそ松「いやあ、いいっていいって」
と、おそ松くんが鼻の下をこすりながら言った。
おそ松「にしても、びっくりしちゃったよ。偶然女の子が変な奴らに絡まれてるとこを見かけたから追いかけてきたんだけど、まさかさくらだったとは」
チョロ松「ほんとだよ。いつこっちに帰ってきたの?」
「今日、ついさっきだよ。それで、引っ越しの荷物をこの男の人の足にぶつけちゃって……」
カラ松「そうだったのか。まったく、腐れ外道な奴らだ」
カラ松くんは、気絶した男を足で軽く蹴飛ばして、ののしった。
な、なんか……高校時代のカラ松くんからは想像できないこと、かも。
トド松「あーあー、カラ松兄さん、その辺にしといてあげなよ。兄さんの脚力、半端ないんだから。その人、死んじゃうかも」
十四松「じゃあ野球する!?」
トド松「しないよ、兄さん」
十四松くんとトド松くんは、高校のころとそんなに変わらないなあ。
おそ松くんとチョロ松くんも、大きい変化はないように見える。
いちばん変わったのは……
「一松くんは、なんか変わったね。別人みたい」
一松「……そうかな」
高校のころの一松くんは、とにかく真面目で、成績も優秀だった。チョロ松くんも真面目だったけど、その上をいくのが一松くんだった。
今は、その頃の雰囲気は全然感じられない。
おそ松「一松はいろいろあったからなー」
おそ松くんの言葉に、十四松くんが、「うんうん」と相槌をうつ。
いろいろって、なんだろう。
ちょっと気になる。