第2章 再会【一松、おそ松+十四松】
そこに広がっていたのは、男の一人が頭から血を流して倒れている光景。
そして、倒れた男の向こうには、紫、黄色、ピンクのパーカーの男の子が立っていた。
この3人も、わたしがよく知る顔だった。
???「ねえねえ、もう終わり? やきゅうしないのー?」
と、黄色いパーカーの男の子、十四松くんが、倒れた男に向かって声をかける。
彼の手には、金属バッドがにぎられており、それに血が付着していることから、この男の頭を殴ったのは十四松くんだということがわかった。
十四松「おじさん、起きてー! ぼくといっしょにやきゅうしようよー!」
???「十四松兄さん、その人気絶してるから無理だよ」
と、ピンクのパーカーの男の子、トド松くんが、十四松くんを諭す。
十四松「ええーっ! 気絶しちゃったの!? つまんなーーい!」
トド松「仕方ないでしょ。十四松兄さん、加減しないで思いきり殴ったんだから」
十四松「あははー! そっかあー!!」
笑い合う十四松くんとトド松くんを見て、残った二人も焦りを見せた。
『ちっ……なんなんだよ、こいつら!』
『こうなったら……っ』
わたしの腕を拘束していた男は、懐から果物ナイフのような小さい刃物を取り出し、それをわたしの喉元につきつけた。
おもわず、恐怖のあまり、「ひっ……」という小さい声がもれる。
『いいか、おまえら。さっさとどっか行きやがれ。さもないと……』
その続きは、聞けなかった。
何故なら、その続きを男が言うよりも早く、紫色のパーカーが動いたからだ。
紫パーカーの男の子、一松くんは、一瞬にしてわたしのそばに移動すると、男の脛をけりとばした。
『ぐはっ…!』
よろめいた男に足をかけて転ばせると、男が手放した刃物をキャッチし、それを地面に転がった男に突きつけた。
一松「へえ。さもないと、なんなの?」
『ひぃっ……!』
一松「……あっは。情けない声。あんた、それでもヤクザなの?」
一松くんは、黒い笑みをこぼし、男を見下ろした。
そんな一松くんに、残った一人の男がつかみかかろうとする。
……が、それは、カラ松くんとチョロ松くんによって阻まれた。
カラ松くんの足とチョロ松くんの拳を同時に体に叩き込まれて、男は、地面に転がった。