第49章 あなたに貰ったもの《おそ松END》
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おそ松くんとプールに出かけてから、1週間が経った。
あの日以来、わたしは、おそ松くんを避けている。
おそ松くんへの恋心を自覚してしまって……
だけど、そんなのは不毛だと心得ているから。
だから、わたしは、この気持ちを押し殺すためにも、なるべく彼に触れないようにすることにした。
そうすれば、この気持ちもだんだん消えていくかもしれないから。
カラ松「……最近元気ないな、さくら」
カラ松くんにそんなことを言われたのは、とある昼下がり。
みんなが出かけてしまい、ふたりきりで居間でテレビを見ていたときのことだった。
その言葉で我に返ったわたしは、自分がまったくテレビなんて見ていなくて、ずっとおそ松くんのことを考えていたことに気がつく。
「……そ、そうかな?」
カラ松「ああ。夜もあまり寝れていないんじゃないのか? 今だってぼーっとしてたし……」
そっか。カラ松くん……わたしがぼーっとしてたことに気付いてたんだ。
「ごめんね。なんでもないの」
カラ松「……そ、そうか。てっきり一松と何かあったのかと思ったんだが……ちがったみたいだな」
この前、一松くんとシているところを見られて成り行きで3Pなんてしてしまったのに、カラ松くんはずっとその話題を口にしなかった。
何事もなかったかのようにわたしに接していた。
最初は、どうして一松くんと身体を重ねていたのかと問いつめられるかと思ってびくびくしていたけれど、
カラ松くんがそれをなかったことにしようとしていると気付いてからは、わたしも、あの出来事はなかったことにしていた。
だから、今、カラ松くんの口から一松くんの名前が出てきたのは、完全なる不意打ちだった。
カラ松「さくらは……一松と付き合ってるわけではなさそうだな」
「……うん、そうだね。一松くんとは付き合ってない……」
終わるのか、と思った。
終わってしまうんだ。
わたしと、カラ松くんの、遅すぎた恋愛が。