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【おそ松さんR18】君がため

第49章 あなたに貰ったもの《おそ松END》




うしろなんて振り返らず、すたすたとひたすらに足を動かす。


もう……おそ松くんってばひどいよ!

その言葉にわたしがどれだけドキドキしたかわかってない!

本当に……乙女心がわからない人だ。

カラ松くんだったらもっと――


そこまで考えて、わたしは足を止めた。


カラ松くん……

わたしは、カラ松くんのことが好きだったのに。

どうしておそ松くんに対してこんなにもドキドキしたりイライラしたりしているんだろう。

わたしは、結局、全部ほしがりな欲張りな女なんだろうか。


顔をうつむけて拳をぎゅっと握りしめた、そのときだった。


『ねえねえ、お姉さん。何してんのー? 彼氏とはぐれちゃったの?』

『この人ごみだもんね〜。一緒に探してあげよっか?』


突然声をかけられて顔をあげると、見知らない二人組の男の人が立っていた。

髪の毛を金髪に染めて、耳にピアスをじゃらじゃらとつけた、いかにもチャラそうな男の人。


「い、いえ……大丈夫です」


思わず、嫌悪感をあらわにしてしまう。


『んな嫌そうな顔しなくたっていいじゃん〜』

『ねえ、本当のとこはどうなのー? お姉さん、今めっちゃ泣きそうな顔してたよね? 一緒に遊びに来た彼氏に振られちゃったんじゃないのー?』


な、なに、このひと。

そんなこと、普通訊く?


「ちがいます。すみません、わたし急いでるので……」


二人の横をすり抜けてその場を立ち去ろうとする。

が、ぐいっと腕を掴まれてしまった。


『ちょっと待ってよ。んなつれないこと言うなよ』

『俺たち、暇なんだよ。ちょっと付き合ってよ〜』

『どうせお姉さんも彼氏に振られちゃって一人ぼっちなんでしょ? 俺たちと遊んで憂さ晴らししようよ』

「憂さ晴らしって、そんな……わたしは本当に……っ」


本当に、振られてなんかない。

だって、一緒に来たおそ松くんは、わたしの彼氏でもなんでもない。

彼は、きっと、わたしのことを本気で好きなわけじゃない……



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