第49章 あなたに貰ったもの《おそ松END》
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さすが、この暑さというべきか、プールには人がたくさんいた。
「うわあ……すごい人……」
プールではしゃぐ子供連れの家族やカップルを眺めながら、ぽつり呟く。
……と、男子更衣室から水着に着替えたおそ松くんが出てきた。
おそ松「お待たせ、さくらっ」
ぽん、と肩を叩かれる。
自然と触れ合う肌と肌に、どきっと胸が高鳴った。
おそ松くん……こうして見ると程よく筋肉がついてて、すごく引き締まった身体だなあ。
なんていうか……色気があるっていうか。男の人だなーと改めて思う。
おそ松「ん〜? どした、さくら? 顔真っ赤だよ?」
「えっ……いや、その、なんでもない……です」
おそ松「ふーん? なんか、さくら、今日ちょっと様子が変だね。もしかして眠い?」
「眠い……? い、いやいや、違うからっ。眠くないからっ」
……なんで気付かないんだろう。
おそ松くんがかっこいいからドキドキしてるのに。
こういうときだけは鈍感なんだから。
ちょっと恨めしくなって、おそ松くんの腕を指先でぐりっと摘む。
おそ松「いてっ……ちょっ、な、なに?」
「なんでもないよーだ。おそ松くんなんて知らない〜」
おそ松「は…はあ?」
意味がわからないという顔のおそ松くんを置いて、プールのほうに向かう。
プールサイドから伸びている階段を使ってプールの中に入る。
水が冷たくて気持ちいい。
プールなんて入るの、何年ぶりだろう。
柄にもなくちょっと嬉しくなって、ちゃぽちゃぽと水面を手で揺らしてみる。
と、そのとき。
おそ松「おい。一人で行くなよ、さくら」
ぎゅっと、
背後から抱きしめられた。