• テキストサイズ

【おそ松さんR18】君がため

第49章 あなたに貰ったもの《おそ松END》




ドキドキドキドキ……

心臓の音がうるさい。


おそ松「…あんがとー、さくら」


そんなわたしの気も知らず、おそ松くんは、ふーっと煙草の煙を吐き出した。


ほんと、どうしちゃったんだろう、わたし。

わたしはカラ松くんのことが好きだったはずなのに…

もしかして。

そんな。まさか。


『さくら、ごめんな……』


先日のホテルでの、おそ松くんの寂しそうな声が、頭をよぎった。


あんなおそ松くんを、初めて見た。

あんなおそ松くんの声を、初めて聴いた。


この人は、一見おちゃらけてひょうひょうとしているけれど、本当はその胸の奥でいろいろなことを考えている。

その背中に、色々なものを背負っている――


きっと……


おそ松「ほい、ついたよー」

「あっ……え……」


ぼーっと考えごとをしているうちに、いつの間にかショッピングモールに到着していたようだ。

わたしは、急いでシートベルトをはずし、車の外へ出た。


すたすたと歩き出すおそ松くんについて行きながら、不意に、おそ松くんの笑顔が見たくなった。

さっき、あんなことを思い出したからだろうか。


「おそ松くんっ」


わたしは、おそ松くんの左手に、自分の右手をすべりこませ、ぎゅっと握った。


おそ松「うおっ……なになに、どしたの」


おそ松くんは、突然のことに驚きつつも、八重歯を見せて笑ってくれた。


「ふふ……なんでもないよ」

おそ松「なんだよ、変なの」


おそ松くんの手がわたしの手をにぎり返してくる。

その瞬間、ふんわりと優しい気持ちがあふれてきた。


好き……なのかな。

この人のこと。


でも、もしそうだとしても、きっと、その想いは胸に秘めておいたほうがいい。

わたしたちは、普通のありふれた「男と女」ではないのだから。



/ 464ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp