第49章 あなたに貰ったもの《おそ松END》
「おそ松くん、運転なんてできるの?」
おそ松「一応な。ほとんどしないけど。……あ、でも、心配すんなよ? これでも、兄弟の中では1番最初に免許とれてるから」
「へえ……」
おそ松くんが車を運転してるとこなんて想像できないけど、一応免許も持ってるみたいだし、……いいよね?
もしあまりにも乱暴な運転だったら、途中でわたしが交代すればいいし。
おそ松「じゃ、乗って」
おそ松くんは、ワゴン車の助手席のドアを開けて、わたしに乗るように促した。
も、もう……さりげなくこういうことするの、反則。
「ありがと」
わたしは、おそ松くんが開けてくれたドアから、車に乗り込んだ。
おそ松くんは、ドアを閉めると、自分も運転席に乗り込み、エンジンをかけた。
「おそ松くん、シートベルト」
シートベルトをしめずに発車しようとするおそ松くんを制し、手をのばしてシートベルトをしめてあげる。
……と、身体が密着した瞬間、おそ松くんの手がわたしの顎をつかみあげた。
そして、ちゅ、と触れるだけのキスをされた。
「……っ! ちょっ、ちょっと、いきなり何……?」
おそ松「あー、ごめんごめん。そこにさくらの唇があったから、つい」
「は、はあ……?」
キスなんて今まで何回もしてきたし、慣れてるはずなのに……
突然されたからか、胸のドキドキがおさまらない。
すると、おそ松くんは、わたしの頭をくしゃりと撫でて、ふっと笑った。
おそ松「…さくら、顔まっか。かーわいい」
「っ……」
わたしは、思わず息をのんだ。
だって、そう言うおそ松くんの顔だって、真っ赤だったから。