第47章 夏祭り【カラ松+トド松】
冷たい声でそんなことを言うトド松くんに、安藤さんと角田さんも、まずいと思ったのか、『そうだね…』『言い過ぎたかもね…』なんて言い合っている。
そして、わたしに向かって、『ごめんね、梅野さん』と謝罪の言葉を口にすると、逃げるようにそそくさとその場を去っていった。
トド松「…まったく、失礼な人たちだよね。誰だか知らないけど」
カラ松「本当だな……さくらのことをあんなふうに言うなんて」
……嬉しい。素直に、嬉しい。
トド松くんが庇ってくれて。
トド松「……って、あれ!?さくらちゃん、泣いてる!?」
カラ松「どうしたんだ、さくら!?」
トド松「どこか痛むの?具合悪い?」
カラ松「…ああ、そうか。さっきのガールたちに言われたことを気にしているんだな。やっぱり、もう1度ちゃんと謝罪させよう。連れ戻してくるから、ちょっと待ってろ」
「まって…! ちがうの」
わたしは、歩き出そうとするカラ松くんの腕を引っ張った。
「…うれしくて。庇ってもらえたことが」
わたしは、溢れだした涙を拭いながら、正直に言った。
「ありがとう……その気持ちだけで十分だから。本当に」
トド松「……そっか。べつにお礼を言われるようなことはしてないけどね。でも、どういたしまして」
トド松くんは、そう言って、わたしの頭に手をのせた。
ぽん、ぽん、とあやすように頭を撫でられ、安心感がこみ上げてくる。
そのときだった。
――パーン
大きな音がして空を見上げれば、夜空に大きな光の花が咲いていた。
トド松「はは……花火、始まっちゃったね」
カラ松「でも、案外、ここからでもちゃんと見えるな」
きれい……
美しい花火に、ふたたび涙腺がゆるむ。
こうして、カラ松くんとトド松くんと花火を見れて……みんなとお祭りに来られて……本当にうれしい。
来てよかった。
わたしは、本当に幸せ者だ、と実感した。