第47章 夏祭り【カラ松+トド松】
カラ松くんとトド松くんは、顔を見合わせて、「ああ…」「うん…」と呟く。
絶対思い出せないやつだ、これ……
『思い出してくれた?嬉しいー!』
『久しぶりだね! 卒業式以来だから、5年ぶり?』
カラ松「あ、ああ…そうだな。会えて嬉しいよ」
トド松「ふたりとも綺麗になったねえ。誰だかわからなかったよー、あははー」
ふたりは、わざとらしい引き攣った笑みを浮かべた。
『……って、あれ? あなたは……』
『もしかして、梅野さん?』
「あ……そ、そうです」
わたしのことまで覚えててくれたのか。
ちょっと嬉しい……かも。
「久しぶりだね、安藤さん。角田さん」
『ほんっと、久しぶりだねー! 未だにカラ松くんにべったりなんだね!』
「え……?」
『カラ松くんだけじゃ飽きたらず、トド松くんにまで手出したのー?ほんと、調子のってるとこまで変わらないんだね』
「……っ」
……なに、これ?
安藤さんと角田さんから向けられた、あきらかな悪意。敵意。
2人の笑顔の裏に隠れた負の感情に、思わず泣きそうになる。
『じゃあ、私たち、そろそろ行くね』
『またね、カラ松くん、トド松くん』
ふたりは、ひらひらと手を振って去っていく。
しかし。
トド松「ちょっと待って」
トド松くんが、ふたりの腕をつかんで引き留めた。
腕をつかまれたふたりは、驚いてトド松くんを振り向く。
『……?』
『どうしたの、トド松くん?』
トド松「……今、なんて言った?さくらちゃんになに言った?」
トド松くんは、トド松くんらしからぬ憤怒の表情を浮かべていた。
『え…? ど、どうしちゃったのよ、トド松くん』
トド松「さくらちゃんが調子にのってるって? 言っとくけど、先に手出したのは、さくらちゃんじゃなくて僕たちのほうだから。僕たちが、一方的にさくらちゃんを好きになったんだ」
トド松くんの言葉に、安藤さんと角田さんは目を見張る。
『ど、どういうこと?』
トド松「だから……僕も、カラ松兄さんも、さくらちゃんのことが好きなんだよ。今日だって、僕らの我が儘で、さくらちゃんに一緒に花火大会に来てもらってるの。だから、さくらちゃんのこと、そんなふうに言わないでくれる?」