第47章 夏祭り【カラ松+トド松】
とりあえず、大きい金魚は重みがあってポイの網が破けちゃうから…
わたしは、1番小さくてすくいやすそうな金魚に狙いを定め、ポイを振り下ろした。
そして、そのまま金魚を網の上にのせ、お椀にすくいあげようとした、そのとき。
水に濡れた網が破け、金魚は、プールの水の中にドボンと落下した。
「あ…あああ……うそ〜! もうちょっとだったのに!」
ふたたびプールの中を悠々と泳ぎ出す金魚をみつめて、悲痛な叫びをあげる。
もどかしい…! もういっそ手で掴み取りたい!
おそ松「下手だなあ。そんなんじゃダメだって」
不意に、おそ松くんが、わたしの隣に座った。
おそ松「おじちゃん、もう1回」
おそ松くんは、おじちゃんに百円硬貨をわたし、新しいポイを受け取った。
そして、それをわたしの手に握らせると、その上に自分の手を重ね、プールのほうへ誘導していく。
「えっ……ちょっ……」
おそ松「こういうのはね、こうすんの」
おそ松くんは、いとも簡単にポイの上にさっきわたしが撮り損なった金魚をのせ、お椀の中に入れてみせた。
「す、すごーい! なんで取れるの!?」
お椀の中で泳ぎ回る金魚を見下ろして、感嘆の声をあげる。
おそ松「こーいうのはコツがあんの。なー、チョロちゃん?」
おそ松くんは、わざとらしくチョロ松くんに話を振った。
くるりと背後にいるチョロ松くんを振り向くと、彼は、顔を赤く染めて唇を噛みしめていた。
……あ、とわたしは悟った。
チョロ松くんも、金魚すくい苦手なんだな。
「……チョロ松くんも一緒にやる?」
チョロ松「えっ……い、いや、僕はいいよ。それより、お腹すかない? あっちにたこ焼きとか焼きそばとか色々あったから行ってみようよ」
おそ松「ふふーん。チョロ松はあいかわず負けず嫌いだねえ〜」
チョロ松「べっ、べつにそんなんじゃないし」
おそ松「じゃあ、なに? 本当は金魚ほしかったとか? んだよ、チョロ松。言ってくれればお兄ちゃんが何匹だって取ってやるのに」
チョロ松「はあ!? ちがうから!」
によによ笑いでチョロ松くんをからかうおそ松くん。
この2人、仲良しだなあ……