第47章 夏祭り【カラ松+トド松】
おそ松「さくら、りんご飴好きだったじゃん。高校んとき、近所の夏祭りに行ったとき、りんご飴5個くらい食ってたもんな」
チョロ松「ね。だから、遅れたお詫びに、と思って」
ふたりとも……覚えてたんだ、そんなこと。
なんか、待たされたとか、そんなことどうでも良くなってくる。
わたしって、つくづくちょろい。
「もう……わかったよ。今回はこれでチャラにしてあげます」
おそ松「さっすがさくら〜」
チョロ松「ありがとね、さくらちゃん」
わたしは、りんご飴を受け取り、そっと一舐めしてみた。
「ん……甘い。おいしい〜」
おそ松「ならよかった。よし、じゃあ行こうぜ〜」
右におそ松くん、左にチョロ松くん。3人で並んで人ごみの中に身を投じる。
それにしても、ほんと混んでるなあ。
確かに、7人で来たらアウトだっただろうな。
チョロ松「最初なにするー?」
おそ松「俺、あれやりたい!」
おそ松くんが指差した先には、夏祭りの定番の金魚すくい。
チョロ松「おそ松兄さん、世話しないじゃん…」
と、チョロ松くんがジト目でおそ松くんを見る。
おそ松「するする! 絶対するから!」
チョロ松「そう言って、去年もおととしもその前も…兄さんが金魚すくいでとった金魚は僕が世話してるんだけど!」
なんだ、この会話……
お母さんと小学生の会話みたい。
でも、金魚すくいかぁ……
しばらくやってなかったかも。
「ね、おそ松くん、チョロ松くん。金魚の面倒はわたしが見るから、金魚すくいしよう?」
わたしの言葉に、2人は目を丸くした。
そんな2人の手をひいて、金魚すくいの屋台に向かう。
プールの中には、小さな金魚がたくさん泳いでいた。
「わあ、かわいい……」
『お姉さん、チャレンジしていくかい? 1回サービスにしてやるよ』
屋台のおじちゃんは、そう言って、わたしにお椀と金魚すくいのポイを差し出してきた。
「えっ、いいんですか?」
『ああ、特別な』
「ありがとうございます! やります!」
おじちゃんから道具を受け取り、プールの前にしゃがみこむ。