第6章 何処にも行けない【十四松、一松】
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十四松「さくらちゃーん」
居間でテレビを見ていると、膝の上に十四松くんが寝転がってきた。
今は、他の兄弟はみんなお出かけ中。
ここで生活するようになって、わかったことがある。
それは、みんなは仕事をしていないけどそれなりに忙しいということ。
十四松「ねえーねえー、さくらちゃん〜」
「んー? どうしたの、十四松くん」
わたしは、テレビを見ながら返事をした。
テレビの中では、有名な芸人さんたちがスタジオで笑い合っている。
……と、そのとき。
ぷつん、とテレビの電源が切れた。
十四松「テレビじゃなくてこっち見て」
十四松くんは、テレビのリモコンをテーブルの上に置き、わたしの腰に抱きついた。
十四松「さくらちゃん、あったかーい!」
「そ、そうかな?」
十四松「うんっ。今日はさくらちゃんを独り占めできてしあわせだな〜〜〜!」
十四松くんは、本当に幸せそうに笑った。
かと思うと、
ちゅっ、と。唇にキスをされた。
「……っ」
十四松「ね、さくらちゃん。おれたち、ふたりきりだよ?」
「そ、そうだね」
十四松「だから……」
「んぅっ……」
今度は、深い口づけをされた。
突然のことに油断していたわたしは、その勢いで床に倒れこむ。
しかし、十四松くんは、そのままわたしの上に覆いかぶさるようにして、キスをつづけた。
「んむ、っ……ふ、」
十四松「その気になってきたー? あ、いいよ、そのままで。おれがシてあげる!!」
十四松くんは、無邪気な笑顔でそんなことを言うと、わたしの服のボタンをぷちぷちとはずした。