第44章 6人とひとり《逆ハーEND》
そんなことがあったのが、もう半年も前の話だ。
あのころ綺麗に咲いていた桜は、色鮮やかな紅葉に変わっていた。
そして、わたしたちの関係にも変化が……
「小母さん〜、このお魚3枚におろしちゃって大丈夫ですか?」
松代「ええ、そうね。お願いね、さくらちゃん」
「はあい」
わたしと松代さんは、台所で夕飯の支度中。
居間では、6つ子と小父さんが、テレビでサッカー観戦をしているらしく、時折、うおー!だの、いけいけー!だの誰のものかよくわからない声がきこえてくる。
半年経った今でも、わたしは、この家でお世話になっている。
あれから、一旦自分の家にも帰り、わたしのお父さんとお母さんにも正式に許可を得た。
ちなみに、おそ松くんがわたしのスマホからちょこちょこ2人に近況報告と写メを送っていたらしく、6つ子のみんなと一緒なら大丈夫だろうと思っていたらしい。
まったく、のんきな両親だ。
松代「…でも、さくらちゃん、本当に料理上達したわよね。昔は、からっきしだったのに」
「なっ…! 小母さんまでそんなこと言うんですか! ひどい」
松代「ふふ…ごめんね。でも、嬉しいわ。さくらちゃんとまたこうやって台所に立てて」
「わたしもです、小母さん」
わたしは、昔から松代さんが大好きだ。
高校時代は第2のお母さんみたいに思っていたし、カラ松くんのことが好きだったからっていうのもあるけど、本当に義娘になれたらいいのにと思っていた。
だから、こうして、松代さんと台所に立てるのは、本当に嬉しいことだ。
松代「……でも、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「へっ……?」
突然、松代さんが、声をひそめて、わたしの耳にそんなことを囁いた。
松代「うちの6つ子の誰と付き合っているのか、知りたいわ〜」
「え……あ、ああ、ええと……」
松代「やっぱりカラ松? 高校のころ1番仲良しだったものね」
「あー……そ、それは……」
松代「でも、母さん的にはチョロ松が1番最初に結婚する気がしてたのよね〜」
「チョロ松くんは……そうですね……」
松代「それとも――」
???「はい、母さん、ストップ」
松代さんの声を突然、誰かの声がさえぎった。