第44章 6人とひとり《逆ハーEND》
「おそ松くん……!」
松代さんの声を遮ったのは、おそ松くんだった。
……そういえば、高校のころも、こんなことがあった気がする。
おそ松「そのへんにしといてよ、母さん。さくら、困ってるから」
松代「あら、そう? ごめんね、さくらちゃん」
「い、いえ……」
ふう……危なかった。
おそ松くん、ナイス。
でも、わかってるんだ。
わたしも、この状況に甘えてちゃいけないってこと。
わたしがこの先もみんなと一緒に生活していくには、この中から誰か1人を選ばなくちゃいけないんだ。
でも……
「選べないよお〜〜……」
松代「えっ、何か言った?さくらちゃん」
「い、いえ! なにも…!」
選べない。
だって、わたしは、みんなのことが好きだから。
本当に、平等に、全員のことが同じくらい好き。
6人の中で順位なんてつけられない。だから、必然的に、1番も選べない。
……ほんと、最低な女だ、わたし。
おそ松「ま、いいんじゃね? 俺たち、時間ならたーっぷりあるんだしさ」
なんて、おそ松くんがちょっと悪戯っぽく言った。
松代「え? え? なんの話をしてるの、おそ松?」
おそ松「なんでもないよ〜。じゃ、俺、あっち戻るから」
そう言って、おそ松くんは、ひらひらと手を振りながら台所を出て行った。
おそ松くんがああ言うなら……
もう少しだけ甘えていてもいいかな?
このまま、みんなのことを好きでいてもいいかな?
もう少しだけ、このまま……
誰も選ばず、6対1の関係をつづけさせてください、神さま。
<End...>