第44章 6人とひとり《逆ハーEND》
おそ松「とにかく! 今日から、さくらはみんなのものだから! でも、抜け駆けは全然オッケーな!」
トド松「それって、つまり……」
十四松「誰が1番にさくらちゃんをオトせるか勝負するってことだねー!!」
チョロ松「上等。絶対負けないから…!」
あ……
なんか、みんな変なスイッチ入っちゃった……
でも、そう言って不敵に笑い合うみんなは、なんだか学生のころに戻ったみたいで……
少なくとも、わたしがこの家にやって来たころの怖い感じはしなかった。
なんだか、今までの出来事が、全部夢なんじゃないかと思えてくる。
わたしがそんなことをぼーっと考えていると。
???「ただいま、ニートたち!!」
???「土産をたーくさん買ってきたぞ、ニートたち」
玄関のほうから、なつかしい声がして、わたしは、思わず耳を疑った。
チョロ松「嘘だろ…このタイミングで?」
十四松「わーい!!父さんと母さんだーっ!!」
おそ松「あー、そういえば、昨日、明日帰るってメール来てたわ」
トド松「そういうのなんで早く言わないの!?バカ松兄さん」
みんなは、ぎゃーぎゃーと喚きながら、居間を出て玄関に向かう。
わたしも、そんなみんなについて玄関に出ていった。
玄関にいたのは、予想通りのふたりだった。
おそ松くんたちのお父さんとお母さん。
2人は、重たそうな大きなキャリーバッグを抱えて、疲れているような様相で息をついている。
おそ松「おっ。おかえりー」
チョロ松「父さん、母さん、おかえり。もう帰って来ないと思っちゃったよ」
松代「なに言ってるの、そんなわけないでしょう。でも、もう帰りたくないって思うくらい楽しかったわ〜」
松造「イタリアは良かったぞー。町並みはきれいだし、飯も美味いし、ジェラートなんてもう最高だったな。なあ、母さん?」
松代「ええ、最高だったわね。あのね、宿泊先の近くにジェラート屋さんがあってね、そこのジェラートがすっごく大きくて……」
トド松「はいはい、思い出話はあとでゆっくり聞くから。早く中に入りなよ、ふたりとも」
興奮冷めやらぬふたりを、トド松くんが制止する。
ふたりは、トド松くんに促されるままに、玄関から家の中にあがり、そして……
わたしの存在に気がついて、目を丸くした。