第44章 6人とひとり《逆ハーEND》
みんなの優しさは、痛いほど伝わってきた。
けれども、わたしは、すぐに答えを出すわけにはいかなかった。
「わかった……でも、少し考えさせてほしい。この状態で産んで、産まれてくる赤ちゃんが幸せなのか……わたしには分からないから」
おそ松「そうだよな……さくらが納得いくまで考えて。何かあれば、俺らも相談にのるから」
「うん、ありがとう……」
わたしは、そう呟くように言って、みんなの輪から離れた。
……あとは、1人。
カラ松くんに、あのことを言わなければならない。
最初から、このまま隠し通せるわけがないことは分かっていた。
赤ちゃんができたのは、きっと、ここでもう終わりにしなさいっていう神様からのお告げだ。
階段をのぼり、2階の子供部屋のふすまを開ける。
そこでは、青いパーカーのカラ松くんが、ひとりで窓辺に座り、外の景色を眺めていた。
「……カラ松くん」
わたしが呼びかけると、カラ松くんは、わたしを振り向き、ふわりと笑った。
カラ松「…どうしたんだ、さくら?」
その笑顔に、胸がぎゅっと押しつぶされそうになる。
きっと、この笑顔を見るのは、これで最後だ。
「カラ松くん、話があるの。隣、座ってもいいかな?」
カラ松「ああ、もちろん。おいで、さくら」
カラ松くんは、自分の隣の床を、ぽんぽんと叩いた。
わたしは、そこに腰をおろし、カラ松くんと並んで外に目をやった。
「……あのね、赤ちゃんができたかもしれないって言ったでしょ?」
カラ松「ああ…」
「そのことで、カラ松くんに言わなくちゃいけないことがあるの」
カラ松「言わなくちゃいけないこと?」
「そう……今まで、カラ松くんに隠してきたこと」
これを言ったら、カラ松くんは、わたしのことが嫌いになる。
きっと、軽蔑する。
もう、前みたいに優しく笑いかけてくれない。
好きって言って抱きしめてくれない。
それでも、言わなくちゃいけないんだ。
「あのね、カラ松くんは、この赤ちゃんが、カラ松くんか一松くんとの子供だと思ってるよね……? でも、ちがうの」
カラ松「……」
「わたし、カラ松くんと一松くんだけじゃなくて、おそ松くんともチョロ松くんとも十四松くんともトド松くんとも身体の関係をもってたの」