第43章 青色《逆ハーEND》
カラ松「……なあ、さくら。あれ、見て」
「……えっ?」
カラ松くんが、突然、ベランダの向こうを指差した。
その指の先を目で追うと、そこには、川があった。
なるほど、このホテルの名前はリバーサイドという名前だったけど、本当に川沿いにあったんだ……
でも、あの川に何が……?
ドキドキしながら待っていると、次の瞬間、川の水が白く光を帯びた。
「あ……っ、え?」
ふわりと浮き上がるような光だった。
川の水が、一斉に光り出し、ここから見ると、夜闇の中で白い光が川の形に浮かび上がっているように見えた。
「す、すごい……なに、あれ?」
カラ松「この町の伝統のお祭りだよ。知らないのか?」
「えええ……知らなかった。じゃあ、あの光は、人工ってこと?」
カラ松「ああ。川の底に灯りを設置して、それを一斉に光らせてるんだ。近くで見たことはあるんだが……やっぱり、遠くから見たほうがきれいだな」
「うん……とってもきれい」
もしかして、カラ松くん、これをわたしに見せるためにここに連れてきてくれたの……?
「……ますます好きになっちゃうじゃん」
カラ松「えっ…何か言った?」
「ううん! なんでもないよ、それより――」
次の言葉を言いかけた、そのときだった。
「……ッッ!!」
突然、何かが喉の奥からこみ上げてきて、わたしは、口を手で覆った。
カラ松「……さくら?」
吐き気。それも、突発的な。
耐えきれず、わたしは、部屋の中に戻り、洗面台に走った。