第43章 青色《逆ハーEND》
身体を折り、洗面台に顔を俯ける。
そして。
「げほッ…げっほ…っ、く…げほッ」
胃の中のものを吐こうとするが、咳しか出てこない。
……なに、これ?
なんで、突然……?
カラ松「…大丈夫か、さくら?」
心配して来てくれたカラ松くんが、わたしの背中を優しくさすってくれた。
そのぬくもりに安心したからか、一瞬吐き気がおさまった。
「ん…ご、ごめん、大丈夫……」
カラ松「どうしたんだ。吐きそうなのか?」
「うん……なんか、突然、吐き気がこみあげてきて……」
そこまで言った瞬間。
わたしは、目を見開いた。
思い当たってしまった。
こうなる原因を。
「う、うそ……っ」
そう言えば、思ってたんだ。
生理が遅いな、って。
慣れない環境で、ホルモンのバランスが崩れているんだとばかり思っていた……
でも、そうじゃない。
これは、きっと……
「カラ松くん……わたし……」
カラ松「……ん?」
「妊娠、してるかも……」
口に出した瞬間、不安やら恐怖やら、様々な負の感情が大波のように押し寄せてきた。
「どうしよう…っ、わたし、妊娠してる…!」
カラ松「妊娠……?」
カラ松くんは、大きく目を見張った。
「か、カラ松くん……どうしよう……どうしよう、どうしよう、どうしよう……! 生理が来ないなって思ってて……それで……今、突然吐き気が襲ってきて……わたし……ッ」
カラ松「さくら、ちょっと落ち着け」
カラ松くんは、混乱状態のわたしを、優しく抱きしめてくれた。
「あ……」
カラ松「……大丈夫。落ち着くんだ、さくら」
ぽん、ぽん、と優しく背中を叩かれる。
安堵感がこみあげてくるのと同時に、涙がこぼれた。
だって……
この赤ちゃんは、誰との赤ちゃん……?
カラ松くんは、自分か一松くんどちらかとの子供だと思ってるけれど、本当はそうじゃない。
わたしは、カラ松くんの知らないところで、他の兄弟とも身体を重ねているんだから。