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【おそ松さんR18】君がため

第40章 黄色《逆ハーEND》




なんか、わたしまで恥ずかしくなってきちゃったじゃん。


「とっ、とりあえず、テーブルに戻ろ? ね?」

十四松「うっ、うんっ」


十四松くんは、唇をきゅっと噛み締めて、こくこくとうなずく。

なんか、いっつもアハーって口開けてるから、十四松くんが口を閉じてるのって、すごく不思議な感じするなあ……



テーブルに戻り、取り分けたケーキを、フォークでつつく。

ひとくち頬張ると、ケーキの甘くてふわふわの食感が、口いっぱいに広がった。


「ん〜! おいしい〜!」

十四松「わー、よかった!」


十四松くんは、いつもの笑顔に戻って、手をぱちぱちと叩いて喜んだ。

……かわいい。

やっぱり、十四松くんと一緒にいると、母性本能がくすぐられる。


と、そのとき。


十四松「はい、さくらちゃん! アーン!」


十四松くんが、フォークをわたしに向けてきた。

そのフォークには、わたしのお皿にはないケーキの欠片。

つまり……わたしにアーンして食べさせてくれようとしてる……?


「ちょっ……十四松くん、さすがにお店の中では恥ずかしい…!」

十四松「えーっ、なんで? これ、すっげー美味しいのに!」

「そ、そういうことじゃなくて…!」


……どきどきどきどき。

心臓が、早鐘のように脈をうつ。


今まで、十四松くんにこんなにドキドキしたこと、あったっけ…?


「あ、あの……」


ちらっ。襟の端から見える十四松くんの鎖骨に目がいく。


ていうか、十四松くん、こんなにかっこよかったっけ?


そこまで考えて、えっ?と我に返る。

十四松くんが……かっこいい?

だって、わたし、さっきまで、十四松くんは可愛いとか母性本能をくすぐられるとか、そういうことを考えてたのに……急にどうして?


十四松「さくらちゃん、どーしたの? ほら、アーーーン?」

「う……あ、あーん……」


観念したわたしは、おそるおそる口をひらき、十四松くんに差し出されたフォークからケーキを食べる。


「あ、甘い……」

十四松「……甘すぎはだめっすか?」

「ううん、そんなことない。すごく美味しい」


本当は、ケーキよりも、この空気が甘かったんだけど。

十四松くんは、わたしがそう思っていることには気付いていない様子だ。



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