第40章 黄色《逆ハーEND》
そうして十四松くんに連れて来られた場所。それは……
「えっ? ケーキバイキング?」
駅前の高級ホテルの一角にある、スイーツ食べ放題のお店だった。
前に雑誌で特集を組まれていて、それを見て以来、わたしがずっと行きたくて行きたくてたまらなかったお店だ。
十四松「さくらちゃん、雑誌のこのお店のページに付箋つけてたでしょ〜? だから、連れて来てあげたかったんだぁ〜」
「ありがとう、十四松くん! 嬉しい…!」
十四松「えへへ…どういたしまして!」
そっか…
仮にも高級ホテルの中のお店だから、ちゃんとした服を着てきたんだね、十四松くん。
意外としっかりしてるんだなあ……ちょっと見直したかも。
十四松「さくらちゃん! 早くケーキ取りにいこ!」
「うん!」
十四松くんに促されて、十四松くんと一緒に、ありとあらゆるスイーツが並べられたショーケースに向かう。
大きなお皿を手にとり、ショーケースから好きなスイーツを好きなだけ取り分けていく。
まずは、無難にショートケーキ。それから、チョコレートケーキ。
あ、このプディングも美味しそう。
それから、チーズケーキ、ミルクレープ、いちごのムース、ミルフィーユ、フルーツタルト……
十四松「わーっ!さくらちゃん、めっちゃ食うね!」
ケーキでいっぱいのわたしのお皿をのぞきこんで、十四松くんが笑う。
十四松「さくらちゃん、ほんっと甘いもの好きだよねえ〜」
「うん、大好き! だから、今、とってもしあわせ!」
十四松「……っ!!」
しあわせ。わたしがそう言って笑ったそのとき、十四松くんの顔が表情を変えた。
いつもひらいている口が、きゅっと閉ざされて、目が大きく見張られる。そして、頬が、かーっとりんごみたいに赤くなった。
「どっ、どうしたの、十四松くん?」
あまり見たことのない顔の十四松くんに、あわてて呼びかける。
すると、十四松くんは、その表情を崩し、はにかんだように微笑んだ。
十四松「も、もう〜!さくらちゃん、ずるいよ! 今の顔、めちゃめちゃ可愛かった!」
「えっ……!?」
あ、ああ…うそ。十四松くん、もしかして、照れてたの?
なにそれ、反則だよ……