第35章 壊れゆく《カラ松END》
カラ松くんは、狂気に満ちた瞳でわたしを見下ろし、にたりと笑う。
そして。
「……いッ痛ッいああッッ!!」
突然、右手の手首に激痛が走り、わたしは声をあげた。
カラ松くんが、わたしの手首をひねりあげたのだ。
「やめてやめてやめてッ…!!痛い!!あああッ」
カラ松「……痛い? ああ、そうだな。さくらが痛がるようにしてるんだから、当然だな」
「いやああッ!! 折れちゃうっッあああ」
掴まれた手を振り払おうとするも、カラ松くんは、びくともしない。
本当に手首が折れてしまうんじゃないか…
そう思ったそのとき。
ようやく、カラ松くんは、わたしの手首から手を離してくれた。
支えを失ったわたしは、床に尻餅をついた。
ひねりあげられた手首が痛くて、立ち上がることすらできない。
と、そのときだった。
カラ松くんが、倒れたわたしに覆い被さってきた。
また何かされると思い、身構える。
カラ松「さくら、なにびくびくしてるんだ? もしかして、俺のこと嫌いになっちゃったのかァ?」
「ちっ、ちがう……!」
肯定なんてしたら何をされるか分からなくて、わたしは、必死に首を横に振った。
「嫌いになんかなってない……!!」
カラ松「でも、俺の日記見たんだよなあ? なあ、どう思った? あれ見て、どう感じた? なあ?」
「ごっ、ごめんなさい…っ、もう許して……っ」
耐えきれず、涙が頬をつたう。
と、カラ松くんの指が伸びて来て、わたしの頬に触れた。
そして、そのまま、両手で顔を包み込まれる。
「か、カラ松くん……?」
カラ松「ここまで見せるつもりなかったのになあ……俺は、さくらが俺に嫌われるのを恐れて一松と付き合っていることを知ってるって、それだけ教えるつもりだったのに」
「……そう、だったの?」
カラ松「そして、そんなさくらでも愛してるから、って言うつもりだったんだ。一松じゃなくて……ちゃんと俺のものになってほしかったのに」
そうだったんだ…
以前のわたしなら、確かに、その言葉を信じて喜んだだろう。
でも。
カラ松「でも、もう全部おしまいだなァ?」
カラ松くんは、そう言って、わたしの唇にキスをした。