第35章 壊れゆく《カラ松END》
『さくらが、町を出て行った。隣町で就職が決まったらしい。
でも、大丈夫。寂しくない。
だって、これからもずっとさくらから目を離さないから。』
『今日のさくらの夕飯は、コンビニ弁当だったらしい。もっと栄養をとらないと、倒れてしまうぞ、さくら。』
『さくらが落ち込んでいる。会社でミスをして上司に怒られたからだ。
何もできない自分がもどかしい。』
『さくらに会いたい…。見ているだけじゃ足りない。話がしたい。』
そんな日記が、延々と続いた。
そして、日記の日付は、今から数ヶ月前に飛ぶ。
『さくらが、引っ越しの準備を始めた。仕事を辞めて実家に戻ってくるらしい。
やっと……やっとこのときが来た。』
『今日は、さくらがこの町に戻ってくる日だ。
一刻も早くさくらに会いたくて、駅まで迎えに行ったのだが、途中でブラザーたちに出くわしてしまった。
仕方ないので、さくらのことは伏せて、適当な理由をつけて駅前をぶらぶらしていると、さくらが見知らぬ男たちに絡まれているのを見つけた。……』
あの日、みんなと会ったのは偶然じゃなかったんだ…
そう……だよね。あんな偶然、あるわけないよね。
『一松が、昨日、さくらをむりやり襲った。アイツもさくらのことを好きだったんだな。』
「え……?」
思わず、声がこぼれた。
これは……わたしがこの家に来た次の日の日記だ。
つまり……
カラ松くんは、わたしがあの日一松くんに襲われたってことを知っていた……ということ?
『おそ松と十四松が、ふたりがかりでさくらを強姦した。そのあと、トド松がさくらに襲いかかり、むりやり処女を奪った。そうか、みんなみんな、さくらのことが好きだったんだな。』
『どうやら、俺以外のブラザーは、さくらをこの家に軟禁するつもりらしい。この前は、一松と十四松が、その前はチョロ松が、その前はおそ松とトド松が、居間でさくらを襲っていた。』
……ぜんぶ、見られてたってことなの?
じゃあ、
つまり、
わたしの嘘は……全部見透かされてる?