第35章 壊れゆく《カラ松END》
『さくらにバレンタインのチョコをもらった。
さくらの手作りチョコなんて、幸せすぎる。食べるのがもったいない。
ちなみに、今年もクラスのガールたちからたくさんチョコをもらった。いらないので、全部ゴミ箱に捨てた。
こんな大量にゴミを渡されて迷惑だ。』
……え?
わたしは、目を疑った。
ゴミって……どういうこと?
だって、カラ松くん、あのとき、あんな優しい笑顔で1人ずつお礼を言って……
「あれは、全部演技だったってこと…?」
今までの日記にも、ひどいことはたくさん書いてあったけど、それらは全部やきもちや焦燥から来るひどい言葉だと思っていた。
けれども、この日の日記は、ちがう。
カラ松くんは、素でこのひどい言葉を書いている。そして、それが悪いことだとも、おかしいことだとも、気がついていない。
『さくらともっと仲良くなりたい。どうしたらさくらは俺を見てくれるんだろう。俺のことを好きになってくれるんだろう。』
『さくらと話がしたいと思ったときのあの作戦を、もう1度つかうことにした。
あの日、俺は、他のクラスの男子たちに金を積んで、さくらを強姦するように頼んだ。そこに俺が出て行き、さくらを助ける。そうすれば、さくらが俺に興味をもってくれると思った。
そして、その作戦は上手くいった。あれがなければ、俺はさくらとこんなふうに仲良くなれていなかった。
だから、もう1度、あの作戦を使おう。
でも、今度は俺は助けに行かない。
強姦されて精神的にショックを受けているところを優しくしたら、きっとさくらは俺を好きになってくれるはずだから。』
『あのときと同じ奴らに金を積んでさくらを強姦するように頼んだ。
これでさくらは俺を好きになってくれるはずだったのに、なのに、おそ松に邪魔をされた。
あと少しだったのに……むかつく。今度は別な奴らに頼もう。』
「……ッ!?」
驚きのあまり、一瞬、息ができなくなる。
……どういうこと?
カラ松くん、誰かにわたしを強姦させようとしていたの…!?
それに……わたしがカラ松くんを好きになったきっかけのあの事件も……本当は、カラ松くんが仕組んだことだったの……?