第35章 壊れゆく《カラ松END》
ばくばくと警笛を鳴らす心臓をおさえながら、ページをめくる。
『今日は、さくらの机の上にスケジュール帳が置いてあったので、それをもらってきた。
スケジュール帳によると、さくらは、週に2回ほど、アルバイトをしているらしい。どんなバイトをしているんだろう。今度、それとなく訊いてみよう。』
『さくらの使用済みタオルを手に入れた。さくらの香りに混じってほんの少し汗の匂いがする…。なんか、すごく興奮する。』
『さくらがいつも使っているシャープペンをこっそり取ってしまった。
さくらは、最近私物がなくなることに困惑しているようすだ。
さくらを困らせたくないので、今後はこういうことは控えたい。』
そんな……
あの時期、頻繁に私物がなくなったのは、カラ松くんの仕業だったの?
『なんという運命の導きか、さくらが演劇部に途中入部してきた。
これで、放課後はさくらと一緒にいられる。うれしい。』
『部活帰り、さくらと一緒に帰ることができた。
訊くと、さくらは俺の家のすぐ近所に住んでいるらしい。中学を卒業してから、駅裏から引っ越してきたんだそうだ。
今度俺の家に遊びに来るように誘った。』
『最近、トド松が反抗期だ。あまり家に帰って来ないし、親だけじゃなく俺たち兄弟にも反抗的な態度をとる。
心配だが、どうすることもできない。』
『さくらが初めてうちに遊びに来た。
ブラザーたちは、俺が女の子を家に連れてきたことを驚いていた。
さくらも、俺以外の兄弟と話せて嬉しそうだった。少し妬けるけど、さくらが嬉しいなら別にいい。』
それからも、日記は、ほぼわたしの話題で続いていった。
中には、わたしが演劇部の部長に身体を触られていてむかついた、だとか、クラスの男子がわたしを狙っていて殺したい、だとか、カラ松くんらしからぬ文章や言葉も混ざっていた。
少しずつ飛ばしながら、読み進めていくと、
ある日の日記にたどりついた。
2月14日、バレンタインデーだ。