第35章 壊れゆく《カラ松END》
わたしは、思わず、日記帳を取り落とした。
……なに、これ。なにこれ、なにこれなにこれなにこれ。
これは、本当にカラ松くんの日記なの…?
カラ松くん……ずっとこんなことを思っていたの?
あの笑顔の裏で……こんな日記を書いていたの?
わたしは、落とした日記帳を拾い上げ、ふたたびページをめくった。
『もう我慢の限界だ。このままでは、いずれ、意地汚い輩にさくらを盗られてしまう。
せめて、気軽に話せる仲になれればいいのに。
さくらに近づく方法を、少し考えてみる。』
『思いついた。さくらに近づく方法。
さっそく、明日実行しようと思う。』
『ぜんぶ上手くいった!
さくらと初めて話ができた!
さくらの瞳に、初めて俺の姿がうつった!
さくらが、愛らしい小鳥のさえずりのような声で、俺に話しかけてくれた!』
え……? なにこの日記?
日付を確認すると、それは……
忘れもしない、わたしが強姦されかけて、それをカラ松くんが助けてくれた日だった。
確かに、あの日、わたしたちは初めて言葉を交わした。
でも、じゃあ、この1つ前の日記は……なに?
わたしに近づく方法を思いついた……?
そして、カラ松くんは、次の日、その方法が上手くいったと言っている。
どういうことなの?
カラ松くん……あなたは、一体なにをしたの?
『せっかく初めてさくらと言葉を交わせたのに、あの日以来、ぜんぜん話をしていない。
理由は簡単だ。
クラスの女どもが、俺とさくらの仲を邪魔するからだ。
俺はさくらに話しかけに行きたいのに……俺の机のまわりに群がって、行く手を阻まれる。』
『クラスの女どもがうざったくて仕方ない。
あいつらは、どうして俺がさくらのところに行こうとすると、邪魔をするんだろう。
挙げ句の果てには、デートに行こうなんて図々しいことを言ってくる。
俺にはさくらがいるんだから、おまえらの誘いにはのらない。』
『今日、さくらの机の中から、ついハンカチを盗んでしまった。
さくらと同様、とてもいい香りがした。』
「えっ……!?」
ハンカチを……盗んだ?
日付を確認すると、頻繁に私物がなくなった時期と一致していた。
もしかして……