第35章 壊れゆく《カラ松END》
『演劇部に入部届けを出した。クールガイな俺にぴったりの部活だと思う。これから、演劇の才能で、カラ松ガールズを虜にするぜ〜。』
『最近、同じクラスのガールたちが、部活中の俺の姿を見に部室までやってくる。やはり、ガールから黄色い歓声をあびるのは、気持ちがいいし嬉しい。
でも、そこにさくらがいたらもっといいのに、と思ってしまう。』
『次の大会で、主役を演じることになった。さすが、俺。オーディションの審査員まで虜にしてしまうとは…。
そのことをクラスのガールたちに報告したら、みんな喜んでくれた。』
『放課後、忘れ物をして教室に戻ったら、さくらがいた。自分の席に座って、本を読んでいた。
その姿が美しすぎて、時間も忘れてずっと入り口から眺めていた。
さくらは、本が好きなのだろうか。』
このノートの中には、わたしの知らないカラ松くんがいた。
わたしの知らない間に、わたしに恋をしているカラ松くんが。
嬉しいという感情と、照れくさい気持ちがこみ上げてくる。
しかし、次のページをめくった瞬間、その気持ちはシャボン玉のように割れた。
『同じクラスの男子が、さくらのことを可愛いと言っていた。むかつく。絶対に許さない。殺してやる。』
そこには、まるで呪いのような言葉が、淡々と並んでいた。
むかつく。許さない。殺してやる……
カラ松くんがこれを書いたの……?
そんなわけない……。だって、わたしの知っているカラ松くんは、男子にも女子にも平等に優しくて、殺すなんて絶対に言わない。
『この前さくらのことを可愛いと言っていた奴を、校舎裏に呼び出して、一発殴っておいた。ちょっとすっきりした。』
『さくらの下駄箱に手紙が入っていた。
開けてみると、中身は隣のクラスの男子からのラブレターだった。
手紙は、ハサミで切り刻んでゴミ箱に捨てた。
そのあと、その男子生徒を呼び出して、ボコボコにした。
俺のさくらに手を出そうとするからだ。今度同じことをしたら、タダじゃおかない。』
『体育の男性教師が、妙にさくらに馴れ馴れしい。今日は、さりげなく肩を触っていた。
むかつくむかつくむかつく… その腕を削ぎ落として、二度とさくらに触れることができないようにしてやりたい。』