第35章 壊れゆく《カラ松END》
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それからというもの、わたしは、カラ松くんの『わたしに黙っていたこと』がなんなのか、気になって気になって仕方がなかった。
カラ松くんは、いずれ見せてくれると言っていたけれど……
いずれって、いつ?
明日? あさって? もしかして、1年後とか言わないよね?
しかし、早くそれがなんなのか知りたい反面、知るのが恐ろしいと思っている自分もいた。
これが杞憂ならいい。でも、カラ松くんは、わたしに、それを見ても俺のことを嫌いにならないでほしい、と言っていた。
つまり、それを見ることによって、わたしがカラ松くんを嫌いになる可能性もあるということ。
……カラ松くん。
あなたは、一体、わたしに何を隠しているの?
おそ松「…じゃあ、さくら。留守番、よろしくなー」
チョロ松「1人で留守番させちゃってごめんね。なるべく早めに帰ってくるからね」
十四松「いってきマッスルマッスルー!!」
トド松「…あっ、十四松兄さん。財布! 財布わすれてる!」
カラ松「トド松、おまえも招待状わすれてるぞー」
慌ただしく出かけていくみんなを、玄関で見送る。
今日は、みんな、中学の同窓会があるらしい。だから、6人まとめてお出かけ。わたしは、1人で留守番というわけだ。
一松「……ねえ、1人で大丈夫?」
最後に残った一松くんが、扉を閉める前にわたしを振り向いた。
「もう、一松くんってば、何を心配してるの? わたし、もう大人だよ。1人で留守番くらいできるって」
一松「……うん」
一松くんは、目線を斜め下に落とし、不安げな表情を浮かべた。
わたしには、一松くんが何を心配しているのか、よく分からなかった。
いくら女だと言ったって、わたしだってもう大人だ。
それに何より、わたしは、数ヶ月前まで1人暮らしをしていたのだ。
1人で家にいることには慣れている。
「一松くん……わたしのことは気にしないで、ぱーっと羽のばしておいで? ほら、みんな待ってるよ」
一松「うん……わかった。いってくる」
「いってらっしゃい!」
まだ不安げな一松くんを見送って、玄関の鍵をかけ、居間に戻る。
静かだな…
この家、あの6人がいないと、こんなに広くて静かなんだなあ…