第34章 青空と君の背中《カラ松END》
「…んっ……ふ、あ…ぁう…」
さくらは、ぎゅっと目をつぶり、なんとか快感をやり過ごそうとしている。
それが可愛くて、加虐心がふつふつとこみ上げてくる。
さくらの耳に唇を移動し、耳の輪郭を確かめるように、舌先でなぞっていく。
そして、胸に手を回し、そこを優しく揉んだ。
「……っね、いちまつくん……あ、…ぁん…ベッド……ベッド、行こ?」
一松「…うん」
さくらの手を引いて、ベッドに連れて行く。
そして、バスタオルを取り払い、生まれたての格好のさくらをベッドに押し倒した。
一松「…さくら、かわいい。可愛すぎて、おかしくなりそ……」
「…っ、そういうこと…言わないでよ…」
一松「はっ…嬉しいくせに」
手と手を絡ませ合い、深く口づける。
舌で唇を一舐めすると、さくらは口を開けて僕の舌を迎え入れる。
そして、積極的にも、自分から舌を絡めてきた。
こういうふうに自分から舌を絡めたりとか……他のみんなにもしてるのかな。
キスも、手をつなぐのも、セックスも、全部ぜんぶ僕だけだったらいいのに。
僕は、さくらの望むものをなんだってあげるのに。
幸せにしてあげるのに……
情事を終えて、さくらとふたり、広いダブルベッドに横になる。
チェックアウトの時間までは、まだあと30分くらいある。
一松「……ねえ」
「ん〜…?」
さくらは、うとうととまどろみながら、返事をする。
……疲れちゃったのかな。今日も何回もイッてたもんな。
一松「ひとつ訊いていい?」
「うん、いいよお……」
一松「さくらは……どうしてカラ松のこと好きになったの?」
「……っ」
眠たそうにしていた顔が一変、さくらの目が、大きく見開かれる。
「ど、どうしたの、急に……」
一松「いや、別に深い意味はないけど……ちょっと気になっただけ」
「……そっか。カラ松くんを好きになった理由、かあ……」
さくらは、首を傾けて、うーんと考え込む仕草をした。
そして、大きく息を吸い込み、
「上手く言えないけど……あのときのカラ松くんの背中と青空が、そこだけ切り取られた世界に見えたんだよね。」
と、言った。